「ホタルの種類」
◆ホタルは、世界中に2000種ほど生息しています。
日本に生息しているホタルは、ゲンジボタルやヘイケボタルです。幼虫の時期、水中で過ごした後に水辺から岸辺に這い上がり、土中に繭を作り羽化します。このような生態を辿るホタルは、世界でも数種類しかいないと言われていいます。
「源氏と平家」
◆私たちが知っていて、よく見かけるホタルは、このうちの「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」です。いずれも水辺に暮らし、幼虫の時期を水中で過ごします。すべてのホタルが幼虫時代を水中で過ごすかというと全くその逆です。日本ではゲンジボタルとヘイケボタルの2種類だけが水中生活、他の種類はすべて陸上で、カタツムリや陸貝をえさにします。ゲンジボタルの幼虫は、清流の流れる水田の水路にすむ「カワニナ」をえさとし、ヘイケボタルは水田の溜まり水にすむ「ヒメモノアラガイ」をえさにして育ちます。
◆こうしてみると「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」は稲作中心の日本の農業とともに繁殖してきた昆虫だといえます。今でこそ、ホタルといえば清流、山奥を連想しますが、もともとはホタルは人里に住み、人間とともに暮らしていて、文明の発達とともに山奥に追いやられた生き物です。
「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」を比べてみましょう。なぜ、「ゲンジボタル」「ヘイケボタル」の名前がついたかはっきり分かりません。昔からいろいろな説があるようです。源氏ボタルに対して、負けて暗い平家ボタルといったところでしょうか。ゲンジボタル」は「ヘイケボタル」に比べて大型で、光りも強く、光る周期もゆっくりで、貫祿があります。「ゲンジ」は「ヘイケ」より、いろいろな点でデリケ−トです。
「ゲンジボタル」が幼虫の時に食べる餌は「カワニナ」が主です。
餌がなければ「タニシ」や「モノアラガイ」も食べなくはありませんが、あまり好まないようです。その点「ヘイケ」は淡水の巻き貝なら何でも食べてしまうようです。また、「ゲンジ」は成虫に発生する時期が短く、ほぼ6月ひと月に限られているのに、「ヘイケ」はゲンジを同じころから発生して8月のお盆のころまでつぎつぎと羽化してきます。「ゲンジ」も「ヘイケ」も、さなぎになるときは上陸し、土のなかにまゆを作りますが、「ヘイケ」が気楽に浅い地表にまゆを作るのに対し、「ゲンジ」は気むずかし屋で、気に入った場所を探すのにとても手間取るそうです。これは「ヘイケ」が水田や沼など、あまり水位の変わらないところで一生を過ごすのに対し、「ゲンジ」は清流に住むので、水位の変化でさなぎの時期に流されたりする危険性を持っているためと考えられます。観察によると、ゲンジボタルの幼虫は、大水の出る年にはずいぶん高い所まで上がってまゆを作るということです。
◆ゲンジボタルとヘイケボタルの一匹のメスが産む卵の数は、ゲンジがヘイケのほぼ10倍といわれます。このことからもゲンジがいかに成虫になるまでの死亡率が高いかということがわかります
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