「冬の蕎麦碾き」
■秋に収穫された玄蕎麦は、真冬になると程よい乾燥と湿度で甘みが多くなる。
其れを上手く挽き出すのが、蕎麦碾き職人技である。奥羽山麓にある蕎麦工房、冬の平均朝の気温はマイナス5度ぐらいが相場である。25kgの玄蕎麦(丸ヌキ)を、4時間以上掛けながらゆっくりと碾き出している。
■秋の蕎麦実は、下葉がニ三枚ほど枯れた辺りで収穫する。昔の蕎麦収穫時期は、蕎麦の幹も葉も枯れてから収穫したそうだ。つまり、完全に実が殻の中に充填されてから刈入れをした。しかし、最近では早刈りが多く見られるようになりました。
■蕎麦の若草色を確保するには、下葉が枯れ始めたら間を置かずに収穫してしまう。是が果たしていいものかと思えるのだが、お客様の反応は確かにいいのだ。でも、早すぎると失敗する事も忘れてはならない。
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<直径60cm大型の石臼で低速回転碾き> |
■自然の郷蕎麦工房
福島県郡山市郊外に位置する奥羽山脈。戦国物語が語り継がれる高旗山の麓に、こだわりの蕎麦碾き小屋がある。蕎麦を碾く工房。手造り豆腐工房。オリジナリティーウィンナー工房が集まっています。
■自然なままに育てられた素材には、手間暇は惜しみません。畑でホコリにまみれた玄蕎麦は、徹底的に磨きにかけられます。黒く硬い玄蕎麦の殻は、ピカピカに輝きます。丸ヌキされた蕎麦実は、黄緑色の甘皮で覆われています。この甘皮も一緒に碾きだします。
その工程は、甘みと香りを大切にするために、ゆっくりと石臼を回転させます。普通なら、25kgの丸ヌキを一時間ほどで機械挽きします。しかし、手間と時間が掛からない効率性を選んで高速回転で挽いてしまうと、蕎麦の命でもある香りまで飛んでしまいます。
■毎分11回転。大型の石臼にしては余りにもゆっくりなので、湿度の関係で詰まることもあります。昔の水車石臼でも、よく見られたそうです。その拘りは、常時人が付いていなければならず手間が掛かります。碾き出されると直ぐに、篩いにかけて再度粒子を整えます。使う分だけを、手際よく製粉して手打ちするのですから、美味しい筈です。
■この蕎麦粉は、郡山のんびり温泉。福島市信夫温泉でも使用しています。
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<楽しく参加できる本格蕎麦打ち教室> |
「趣味の美味日和」
■蕎麦粉は、初めての方でも容易に手打ちできるように、外一(蕎麦粉550g+小麦粉50g)でブレンドされています。捏ね鉢に粉を馴染ませてから、60度のお湯200ccを加える。手早く立て指を交互に介して混ぜ合わせたら、再度掌を臼に例えて摺り合わせて粉にします。
■二回目の加水は、70cc程加えて粉の下に指を差し入れながらダマを作る。
この工程は、手抜きしないように均一なダマ(コロ)を作り出す。生徒さんには、捏ねてしまう方が多く見られますが、纏めるのではなく小さな固まりを作り出すことです。最後の調整水を加えたら、纏めに入ります。大まかな菊練をして、脱気しながら程よくなるまで捏ねてからヘソ出しして丁稚李を作る。
「そば切り」
■手延しから、本延し工程。水廻しさえしっかりやっていれば、延し工程でも割れが少ない。
包丁幅に合わせて折りたたんだら切りに入ります。最初は、上手く行かなくても直ぐになれて1.5ミリ程に切り揃えられます。
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「蕎麦風味」
■蕎麦は、簡素な食べ物なれど奥の深い味わいがある。
収穫される土地柄によって、パサついたり異なる粘りが出てくる。粉の正体が分からないと、臼で碾にもトラブルが起こってしまう。増して打ち手が変われば蕎麦の風味は別物になってしまいます。
■粉を上手に馴染ませるには、先ずは相手を知る事です。
優しく盛り立てて強めに締め付ければ、コシも程よく立つでしょう。
さぁ。準備が整ったら試食しましょう。
湯であげ時間は切り幅で決まりますが、初めての方は凸凹?なので、一応50秒ぐらいならOKでしょう。自分で打った蕎麦を戴くのですから、まずい筈はありません!二度目ならもっと上手くなる。3度目からは、蕎麦職人の如き振舞い蕎麦を造り上げると思います。
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