「奥羽山麓諏訪峠の蕎麦話」
◇茨城県から、白河を抜けて会津に至る途中に諏訪峠がある。長沼城から通称茨城街道にあるのが勢至堂峠だが、其の東手にあるのが諏訪峠です。どちらも、長沼城から通行できるようになっている。
このあたりは、石だらけの荒地に近い為に水田にも向かなかった。地元の人達は、大豆や蕎麦。麦などを耕作していたと言う。蕎麦が見直されて以来、この地に脚光が浴びる事になったのは猪苗代湖が近くにあったからである。
夏場から秋にかけて、東風が北西風に変わる。季節の変わり目でもあり、寒暖の差も生じてくるから、この偏西風によって湖上の霧が舞い上がる。その滴が降りるのが諏訪峠付近なのです。
<大型バスで蕎麦打ち体験教室>
◇蕎麦打ちは、単独で黙々と手打ちする姿が思い浮かびますが、其れは職人の真剣な作業風景です。即ち、しゃべっている暇が無いほど素早く一つ一つの工程をしっかりと進めたいからです。しかしながら、喉越しのよい歯応えのある蕎麦が自分で打てたら最高ですよね!
蕎麦職人技とは行かなくても、楽しみながら手打ちして自分のお膳が創作できるとしたら、是にも勝るご馳走はありません。そんな体験教室を実現したのが、のんびり温泉手造り教室です。添加物を最小限にした手造りソーセージ。天然ニガリで仕上げる手造り豆腐。そして、石臼挽きの高級蕎麦粉を使用する手打ち蕎麦教室です。
◇手打ち蕎麦教室は、お一人でも団体様でも楽しめます。
今回は、関東方面から25名のお客様が体験しました。其の殆どが初めての蕎麦打ちとか。講義をしてくれるのは、信夫高湯のんびり温泉温泉の渡邉支配人に応援していただきました。もちろん、蕎麦碾職人でもある私も助っ人しましたよ!
「水廻し」
■使用する蕎麦粉は、大型の石臼から碾き出された50メッシュの篩いで選別500g。
この中にツナギとして、小麦粉を50g混ぜて使用する。麦打ちで一番大事なのが、水廻(加水)しです。蕎麦粉の粒子全体に、水を含ませていきます。是を、3回に分けて加水する。一番の失敗は、加水オーバーですから最後は数滴で仕上げます。また、水分が不足すると割れや亀の甲羅(延し跡がマバラ)になってしまいます。加水率は、捏ね鉢の状態。(塗りが入っているか木肌素材か)によっても異なります。一般的には、95%ほどとなります。
先ずは、蕎麦粉の粘りを引き出すために60度程度のお湯50%を加えます。是によりグルテン(小麦粉に水を加えて捏ねると、グリアジンとグルテニンが精製されてグルテンができる。)も絡みつきます。蕎麦粉には、タンパク質が殆ど無い為に、初めて打つ方には切れが生じて向きません。初めから水を加水してもいいのですが、是も初めての方には無理があります。熱湯だと、せっかくの香りが飛んでしまいかねませんので、お湯にしておいた方が無難です。
「捏ね」
■捏ねと言っても、コネを加えるのは最後の菊練と空気抜きだけ。最初の水廻しでは、もう一度粉にするつもりで掌で臼のように挽きおろします。詰まり、粉の微分子の隅々にまで水分を行き渡らせる事が肝心です。ここで大まかにしてしまうと、次の加水時に粉ダマに水が廻り(表面だけ)ダマ同士が結合(騙し合い)してしまいます。このような状態で捏ねまわしてしまいますと、蕎麦切りの際に粘ってしまったり、コシの無い蕎麦に仕上がってしまいます。
「でっちり」
■蕎麦ダマを一つに纏めたら、上部の淵を手前の淵際にひねりながら回転させていく。その形は蕎麦打ち職人によって違いますが、郡山地方では「でっちり」と呼びます。この方言は、大きなお尻をした方がどっしりと腰を掛けた状態だからといわれています。
其の見た目は、若い女性の張りのあるオッパイ型にすれば宜しいかと思います。
捏ね鉢から取り出したら、突起部分を掌で揉みこみながら底部を整える。さぁ。是で水廻しから捏ねまで終了。
「丸延し手延し」
■字の如く掌で丸く延していきます。
この際に注意する事は、淵をつぶさずに中央部を少し高めにします。円形は30cmぐらい。次は、延し棒を使い50cmぐらいまで丸い形状を維持しながらす延していく。丸延しが終わったら、今度は角出し工程。
この方法は、底辺を巻き上げて二回転させたら右から左に展開。これを4回で一回り。是を二回ぐらい繰り返すと、正方形又は長方形になる。一方を延し棒に巻き上げて反対側を更に延していきます。是が本延しです。言葉だと難しいように思えますが、簡単な作業工程です。完成幅は約70cm。縦幅は90cm前後となりました。是を二枚に折り重ねます。たたみ方は色々ありますが、切り包丁に合わせるのもいいでしょう。
■今度はそば切りですが、是はゆっくりやれば大丈夫です!
蕎麦職人みたいに、トントン切るには半年も修行すれば何とかお膳に盛れるかな。
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<楽しい試食です>
■何と言っても一番楽しみなのは試食会です。
各自が打った蕎麦を茹で上げます!是がちょっと大変なのです。
だって、切り幅が不ぞろいですからねェ〜。
みんなのお膳が揃いました!一口頬張ると、旨い!美味しい!
次々と蕎麦屋の中に声が飛び交いました。
■お客様の蕎麦の他に、手前どもで打っていたお蕎麦もお出ししました。本当の手打ち蕎麦をご賞味していただきたいからです。今回は、比内地鶏で出汁をとった「つけ蕎麦風味」にしました。もちろん、手造り寄せ豆腐も添えました。
●今回のお膳盛りメニュー:盛りザル蕎麦。香り物。寄せ豆腐。
比内地鶏汁。薬味。おろし大根。ワサビ。
今回の蕎麦打ち教室は、大人数でしたので手が回らない面がありました。
しかしながら、凄く丁寧に切り揃える方。勝手気ままに幅広蕎麦にする方。
中々うまく延しができず、悩んでいる方など大笑いの体験教室でした。
●蕎麦打ち教室: 趣味で打つ方。お店予定の方には、本格手打ち蕎麦講義をいたします。
独膳我流ですが、プロの調理人まで訪ねてきます。拘り派にお勧めです。
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