郡山市湖南町そば栽培 |
「新蕎麦の季節」
■七月の中旬に蕎麦の種を蒔く。
この地は、福島県郡山市湖南町中野地区である。郡山市といっても、東の阿武隈山地から西の奥羽山脈までと広い土地柄でもある。湖南町は、その中でも奥羽山脈を越えて会津の地境に位置するのだから、チョッと分かりづらい。
簡単に言えば、猪苗代湖の南に位置する中程にある。
是で、「湖南高原中野地区」と呼ばれている。チト独自判断になってしまいましたが、奥羽山麓の畑で蕎麦を栽培しているのが中野生産組合です。最近の蕎麦人気に伴って、蕎麦一筋に年々栽培面積を広げている。
●福島県耶麻郡猪苗代町:本格蕎麦打ちを養成する創作塾。
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「石臼碾蕎麦粉を打つ」
■麺類を手打ちするには、少しだけ習得しなければならない技がある。
と言っても、何年も修行しなければできない極みでもない。玄蕎麦。ヌキ。碾き方。粉の性質。これらを把握できるようになれば、誰にでも簡単に手打ちできるものなのです。早い方は、創作塾に半年の間(20回程度)通い続けて、蕎麦屋を開店した方もいるほどです。
もちろん、種蒔きから収穫までを畑に出向いて観察しています。
よく街中の蕎麦屋さんが、自前で畑を作っているとか聞きますけど、全てが玄人肌になることは不可能だと思います。畑造りは専業農家に依頼して、手前は自前で打つことだけを考えていればいいじゃないかな。詰まり、もち屋はモチ屋に任せるが肝心です。
「石臼碾粉」
■60p以上もある大きな石臼で、ゆっくりと粉を碾き出します。回転数は毎分10回程度にしている。それは、回転する際の摩擦熱を上げたくないからである。最近の臼は、冷却装置まで装備されているものもあるけれど、やっぱり自然のままに碾く事が摂理だと思うのだが。
石臼の微粒粉は、凹凸のあるバラ粉が多い。機械挽きされるロール粉は、丸く均一である。何となくこの方がいいように思うけれど、そうとばかりは言えません。
何故なら、生粉打ち(蕎麦粉100%)の場合は、水廻しから捏ねに至る工程の時に纏まりが悪くなるのです。もちろん、二八(小麦粉2.蕎麦粉8)で打てば、問題は有りません。小麦粉のグルテンが繋ぎの役目をしてくれます。 |
「そば切り」
■蕎麦打ちの中で、一番楽しいのが蕎麦切りの工程です。
私の水廻しは、加水2回95%で纏めに入ります。その中身は、独自なもので公開するまでも無いので省略?します。別に隠すつもりは無いけれど、ベテランの職人さんに笑われそうだモン。
能書きはこのぐらいにして、粉を纏め上げてコネが終わり「でっちり」まで仕上げたら、今度は手延し。(掌で正円形になるように)丸延し。(延し棒を回転させながら生地廻し)本延し(延し棒二本。又は3本を用いて長方形)となります。延しは延しでも、掌で延すのではなく、飽くまでも延し棒の回転で広げていくと上手く行きます。
■生地の厚さが、1.2ミリ前後均等になってきたら、3枚ほどに畳み込みます。その切り幅は、25cm以上になればいいでしょう。私の蕎麦包丁は、恥ずかしながら30cmしかないので、26cmがいっぱいなのです。蕎麦職人さんなら、尺一寸は使ってますよね!それも000000万円もするヤツです。まぁ。事情はあるけれど、蕎麦が旨いか旨くないかが勝負なのですから、気にはしてないつもりだけど、できたら手打ちの?高価な包丁で切りたいモンでございます。 |
「新蕎麦は若草色」
■11月ともなると、新蕎麦の季節となります。
やっぱり、蕎麦人にとって待ちに待った時期でもあります。最初の水廻しをするとき、粉からは独特の穀物臭(土の匂いと蕎麦実の香り)が立ち上がります。それを素早く水分の中に吸収して纏め上げます。
沸騰している大鍋の中に、手際よくバラして投入する。最初の沸き上がりまでは、攪拌せずにします。沸騰し始めると、鍋の中で小気味よく回転して熱を芯まで届けます。その瞬間を見極めて、湯揚げして荒熱を真水で取り去る。蕎麦屋く氷水で締実ながらヌメリを洗い落とします。
切り角は崩れていないか。洗い手の纏まり具合はどうなのか。
ザルに乗せるまで自問自答が続きます。その出来上がりは、締めている際に判断できるのです。上手に仕上がった時の蕎麦は、手指に纏わりつくようになります。コシがあるようでも、芯まで熱が通っていなければ、芯硬く美味しい蕎麦とはなりません。
「地鶏つけ蕎麦の試食」
■新蕎麦を打ち。早速試食です
つけ蕎麦の汁は、比内地鶏でベース味を出してから、長ネギ。雑きのこ。ワラビ。タケノコ。ナメコ。そして自家製木綿豆腐を煮込みます。手前味噌ですけど、是が又いい味でてるんです!打ちたての蕎麦200gを、約50秒ほど煮立てます。素早く湯揚げして水洗い、締めこんで皿に乗せた。(お客さん用の膳ではありません)薬味は、大根おろしと刻みネギだけです。因みに、ワサビはちょっと苦手。
先ずは蕎麦だけ一喉押し込むと、香りが鼻を突き抜けます。
その噛み心地は、しっかりとコシが立ち喉越しも程よく感じました。是なら、自信を持ってお客様にお出しする事ができます。
この時の感動は、いつも新鮮で思い上がりは全く御座いません。だから、素朴な味が楽しめるのだと思います。
●蕎麦は荒地で育つもの。時には荒く扱おうとも、蕎麦の生い立ちを知っていれば触れあい何処かで馴染むものです。 |
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