アサザ(浅沙。阿佐佐)
あさざはミツガシワ科アサザ属の多年草。ユーラシア大陸の温帯地域に分布し、日本では本州や九州などに生育する。浮葉性植物で、地下茎をのばして生長する。スイレンに似た切れ込みのある浮葉をつける。若葉は食用にされることもある。
夏から秋にかけて黄色の花を咲かせる。五枚ある花弁の周辺には細かい裂け目が多数ある。アサザの繁殖方法には、クローン成長と種子繁殖という2つの方法がある。成長期のアサザは、走出枝をさかんに伸ばすことで展葉面積を広げるが、同じ遺伝子からなる1個体である。
また時として、走出枝が切れて(切れ藻)漂着し、そこから新たに成長することもあるが、この切れ藻は、元の個体と同じ遺伝子を持ったクローンである。 一方種子繁殖について、アサザは「異型花柱性」という独特の繁殖様式を持っている。花柱(めしべ)が長くて雄ずい(おしべ)の短い「長花柱花」と、反対に花柱が短く雄ずいが長い「短花柱花」を持つ個体が存在する。
そして、異なる花型を持つ花の間で花粉がやり取りされないと正常に種子繁殖を行うことが出来ない。花から生産された種子は翌年に発芽するほか、土壌シードバンク(埋土種子)を形成して、数年間休眠することもある。
生育環境
湖沼や池に生育する。近年、水辺の護岸工事や水質汚濁、水位操作に伴い、各地で個体群が消滅、縮小している。アサザの遺伝解析の結果、ほとんどの自生地が1つないし2つのクローンで構成され、種子を作るために必要な異なる2つの花型が生育するのは霞ヶ浦だけとなっていて、日本にわずか61個体しか残存していないことがわかった。
その内、20個体が霞ヶ浦に生育していて、霞ヶ浦にしか残されていない霞ヶ浦固有の遺伝子が存在することも明らかになった。しかし、霞ヶ浦では近年生育環境が悪化し、非常に高い絶滅の危機に瀕している。局所個体群が急激に減少しはじめた1996年から2000年と2004年以降は、霞ヶ浦の水位が高く維持されるようになった年であり、何らかの関連性があると考えられている。
<絶滅危惧種アサザ>
開花時期は8月から9月ごろ |
<生態系としての機能>
淡い黄色の可憐な花 |
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◆生態系としてのアサザの機能
アサザはしばしば大きな群落を形成しますが、湖底の安定化、地下器官からの酸素供給、消波作用、盛んな枯死分解による栄養塩供給などといった高い環境形成機能をもっており、それ自体が重要な生態系としての役割を果たします。オランダのBrockらの研究によれば、アサザ群落内では無脊椎動物の種数 個体数 バイオマス(生物体の量)が水生植物の生育していない場所に比べて有意に高く、特に地下部での豊富なバイオマスの大半を占める二枚貝類は、アサザ群落内でしか見られなかったことが報告されています。
◇猪苗代周辺でのアサザ観賞は、R49線。白鳥ヶ浜周辺(磐越道猪苗代湖ICから49線信号セブン南側)◇湖南町鬼沼。
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