湯治という行為は、日本においては古くから行われていました。衛生に関する知識や医療の技術が十分に発達していなかった時代、その伝聞されていた効能に期待して、温泉に入浴したり飲泉するなど、多くの人が温泉療法によって病気からの回復を試みていました。体の特定の部位に対する効能が良いとされた温泉には、多くの湯治客が訪れています。昭和期前後には、農閑期に時間が取れる農民が、蓄積した疲労を癒す目的で知人らと共に一緒に湯治を行いました。 湯治場(とうじば)とは、湯治を目的に長期滞留する温泉地のこと。短期の観光目的のお客様等とは、別使いの接待となります。昔の湯治場は、殆どが自炊が基本となっていました。これらは、長期滞留の金銭的負担軽減という理由もありますが、湯治客の症状によっては日々の食事内容に制限があるためです。個々が自分にあった食事を行う必要があること、宿泊や滞在に必要なものは少なからず異なります。観光旅館への宿泊と違い、寝具等は自分で上げ下げする事もあります。