赤井谷地沼野植物群落(あかいやちしょうやしょくぶつぐんら)
■福島県会津若松市北東部にある標高525mの高層湿原。国の天然記念物に指定され、日本の重要湿地500に選定されている。
赤井谷地は、猪苗代湖の西岸から約1キロメートルに位置する。猪苗代湖に注ぐ赤井川の谷の出口付近の低地に所在し、南北に約1キロメートル、東西に約0.4-1キロメートルあり、現在の指定面積は約68.4ヘクタールである。
1928年(昭和3年)3月24日に、寒地性湿原植物群落として指定された国の天然記念物である。当初指定された面積は約52.8ヘクタールであったが、第二次世界大戦後の食糧増産のため、約9.2ヘクタールが開墾地として現状変更が許可され、近年まで湿原として保護されてきた面積は約43.6ヘクタールにとどまった。
2002年(平成14年)には、湿原の乾燥化を抑制し天然記念物として保存を図るため、過去に払い下げられ開墾された指定区域内民有地の公有化が行われた。また、2007年(平成19年)2月には既指定区域の周辺部分の約15.6ヘクタールの農地や原野が追加して指定された。
- 北方系植物の遺存
- 赤井谷地は、標高が525mと比較的低標高であるが、1928年の調査によると、自生する植物199種のうち、ツルコケモモ、ホロムイイチゴ、ホロムイソウ、ミカズキグサなど36種もの植物がサハリンと共通する亜寒帯植物であると報告されている。これは、日本の最終氷期である約2万年前までに北方系の植物が南下していたものが遺存したものと考えられている。
- 陸化型高層湿原また、泥炭ドームの下に湖成層が確認されている、日本では珍しい陸化型高層湿原である。これは、4-5万年から2万年前にかけて、現在の猪苗代湖の水位が20mほど高かった頃、この地はその古猪苗代湖に含まれ、湖底には赤井谷地層と呼ばれる湖成層が堆積していった。2万年前頃、古猪苗代湖の水位がさがり、周辺が陸化されたあとも浅い沼地となり、さらに植物遺体によって泥炭層を3m堆積させながら湿地化し、泥炭ドームを発達させて高層湿原となったものである。指定地内に木道などは整備されておらず、外見だけで湿原内に立ち入ることはできない。
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- ◇赤井谷地内部に立ち入る事はできませんが、周辺にはトレックする農道がございます。高台から眺望するのもお勧めです。
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